眉間のメモ

エンタメ好きな大学生のメモ

【要約】SAVE THE CATの法則

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どんな映画なの?

脚本を売るためには「どんな映画なの?」に一行で素早く、簡潔に、独創的に答えなくてはいけない

 

脚本を売るためには以下の4項目を満たすログラインを考える

ログライン=その映画を一行で説明したもの

皮肉:フックになる皮肉(ひねり)が存在し、感情を揺さぶられるような劇的な状況がある

イメージの広がり:ログラインを聞いた時に、パッと魅力的なイメージが浮かぶ。映画の長さをはじめとした映画の全体像がなんとなく想像できる

観客層と制作費:脚本のバイヤーが利益を想像できるよう、作品の雰囲気、ターゲット層、制作費などが示されている

パンチの効いたタイトル:「どんな映画なの?」が明確に、効果的に表されえている絶妙なタイトル

 

道にいる人、友達、等、色んな他人にログラインについて話し、反応を伺い修正する

 

 同じものだけど…違ったやつをくれ!

売れる脚本を書くには典型にひねりを加える必要がある

 

それぞれの典型の黄金パターンを研究し、ストーリーを分解し、どう組み合わさり、どう機能しているかをよく考える→パクリじゃないか、ひねりが足りないかを考えれるようになる

 

映画の脚本10ジャンル

家の中のモンスター

例)「ジョーズ」「エイリアン」「エクソシスト」「ジュラシック・パーク

構成要素:モンスターと家、モンスターを殺したがっている人間

基本ルール

・舞台は逃げ場のない空間

・事故や事件が起き(大抵の原因は人間の欲深さ)モンスターが生まれる

・モンスターは罪を犯した人間に復讐する

・罪に気づいた人間、克服した人間は生き残る(モンスターに見逃してもらえる)

・それ以外の人間はとにかく走って逃げ、隠れる

モンスターにどんな新鮮味やひねりを加えられるかが鍵

  

 

金の羊毛

例)「スター・ウォーズ」「オズの魔法使い」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「オーシャンズ11」

何かを求めて旅に出るストーリー

最終的に発見するのは別のもの=自分自身

基本ルール

・主人公が旅の途中で人々と出会い、色々な経験をする

・その出会いと経験が主人公にどんな影響を与えるかがプロットであり主人公の成長がテーマ

→重要なのは主人公がどのくらい進んだのかではなく、どのくらい変わったのか、そしてその変化がどれだけ意味があったのか、何を学び何が変わったのか

→個々のプロットが成長につながっている

 

 

魔法のランプ

例)「アラジン」「シンデレラ」「フォーチュン・クッキー

何かしらによって夢や願いが叶う話

主人公が魅力的で夢が叶う価値の人物である

 

基本ルール

・主人公は不遇で観客に願いが叶ってほしいと思わせる人物

・主人公は最終的に普通が一番だと気づく

・最後に「いちばん大切なのは道徳」という教訓が用意されている

 

逆パターンで嫌なヤツに天罰がくだる話もある

→主人公は一度懲らしめたほうがいい人間

→主人公は嫌な奴ではあるが、救ってやる価値も少しだけある

→最後は更生して道徳的な人間になる

 

 

難題に直面した平凡な奴

例)「ダイ・ハード」「タイタニック」「シンドラーのリスト

平凡な日常からとんでもない一日になる話

(観客と同じ平凡な人間が困難にあうと共感してもらいやすい)

 

構成する要素:観客と同じ普通の人間の主人公が勇気を振り絞り問題に直面する

大問題と悪者が必要

 

基本ルール

主人公はとにかく平凡に→主人公が平凡であればあるほど問題は大きく見える

悪者はとにかく悪く→悪者が悪ければ悪いほど、主人公の行動は素晴らしく、勇気あるように見える

 

主人公は自らの個性や知恵を駆使して何倍も強力な的に立ち向かい勝利するから感動が生まれる

 

 

人生の節目

例)「トレインスポッティング」「ナポレオン・ダイナマイト」「マリッジ・ストーリー」

人生の節目につらい経験をする

主人公はつらい経験をくぐり抜けて解決策を見出す

「人生ってこういうものだ!」というストーリー

主人公は段階を踏みながら、コントロールできない不可解な力を受け入れていく

最後に笑えるようになったときに勝利は訪れる

 

 

バディとの友情

例)「レイマン」「ファインディング・ニモ」「E.T.」「ホット・ファズ

ラブストーリーもセックスの可能性がプラスされたバディとの友情

 

基本ルール

・最初〈バディ〉はお互いを嫌っているが、旅をしていくうちに相手の存在が必要で、二人で一人なことがわかってくる

・そうは気づいても、こいつがいなきゃダメだなんて嫌だ!とここでまた新たな葛藤が生まれる

・結末近くになるとバディと喧嘩になり、一時的に分かれる

(お互いなくして生きていけないこと、お互いエゴを捨てて仲良くするしかない事を最終確認するきっかけ)

・最後に二人は覚悟を決める

・主人公のバディは主人公に影響を与え変化させる

 

 

なぜやったのか?

例)「チャイナタウン」「シックスセンス」「トータル・リコール」「ユージュアル・サスペクツ

誰がやったのかより、なぜやったのか→主人公の変化を描くものではない

「犯罪」や「事件」が明るみに出た時、その背景にある想像すらしなかったような人間の邪悪な性が暴かれる

 

基本ルール

・観客を人間の心の闇へと連れて行き、スクリーン上の探偵が観客の代わりにその謎を解くかに見えるが、真相を突き止めるのは観客自身

・観客は探偵が集めた情報をもとに自分でその真相を明らかにし、意外な結果に衝撃を受ける

 

人間の心の奥底を写し出し、人間の誰にでもある本質的な悪を描く

 

 

バカの勝利

例)「フォレスト・ガンプ」「キューティー・ブロンド」「40歳の童貞男」

一見負け犬に見えるのでみんなに見下されているが、逆にそのおかげでバカは最終的に勝つ

バカは間抜けで、誰にも相手にされないが、運と勇気を持ち、どんなに形成が悪くても決して諦めない特異な才能で最後に勝利する

 

基本ルール

・負け犬のバカに対してもっと大きく権力の悪者(大抵は体制側)が存在する

・バカはどんなに神聖で立派な体制や組織であっても、容赦せずおちょくり、ボコボコに批判する

 

実はバカが一番賢い選択をする

社会のアウトサイダーのストーリーであり、バカの勝利は観客が自分の勝利のように感じ快感を覚える

 

 

組織のなかで

例)「ゴッドファザー」「カッコーの巣の上で」「アメリカン・ビューティー

組織や集団、施設についてのストーリーを追うジャンル

 

主人公は自分の属する組織に誇りを感じる一方で、組織の一員として生きるために自分らしさやアイデンティティーを失うという問題も抱えている

 

基本ルール

・予期せぬ登場人物が現れ、集団の目的が実は欺瞞(ぎまん)であることを暴く

・組織や集団を動かす根源に狂気や自壊的なものがあることが多いという共通項がある

・個人よりも集団を優先することの是非が描かれている

 

新しく組織に入ってきた人物の視点から語られることが多い

→組織に対して何も知らない観客と同じ立場

ストーリーは〈俺とあいつとどっちがイカれているか?〉

スーパーヒーロー

例)「スパイダーマン」「マトリックス」「ライオンキング」「ビューティフル・マインド

主人公は超人的な力を持っているが人間的な部分も持ち合わせている(だから観客は共感できる)

 

問題が起きるのはヒーロー本人のせいではなく、彼を取り巻く周囲の人間の心の狭さのせい

それゆえにヒーローは周囲の人間に理解されない

ヒーローにとって特別な存在でいることは辛いこと

→観客は、誤解されたり、周りから理解されないヒーローの苦しみの部分に共感する。

 

人と違うとはどんなことなのか、独創的な考え方や素晴らしい能力を妬む凡人と向き合わなければならないとはどういうことなのか?を観客が共感できるように描く

 

ヒーローの持つ超人的な力に観客は想像力を掻き立てられ、彼らの抱える現実の辛さや苦しみにも共感する

 

《同じものだけど…違ったやつをくれ》はいつの時代でもストーリーテリングの本質である

典型的なストーリーに新たなひねりを加えたり、時代性をプラスすることにより、現代で語る意味が生まれる

 

 ストーリーの主人公は…。

主人公は観客の代わりをし、観客を共感させた上で、ストーリーのテーマを伝える

 

完璧なログラインを作るのに必要な項目

・主人公を描写する的確な形容詞 ・悪役を描写する的確な形容詞 ・人間誰しも共感する原始的な目的

 

ストーリーにぴったりな主人公を考えるには

一番葛藤する ・感情が変化するのに一番時間がかかる ・楽しんでもらえる客層の幅が一番広い

 

主人公の動機はとにかく原始的に→人間は本能的で原始的なものに心を動かされる

 

主人公の配役

・脚本が売れる前から、配役を考えるな ・特定の俳優を頭に描いて、登場人物を作るな

・この主人公にはこの役者しかいない!なんて決めつけるな!必ずがっかりするから

→配役がすべて思い通りになることなんて有り得ないから

 

主人公の人物像 

共感できる人物 ・学ぶことのある人物 ・応援したくなる人物

・最後に勝つ価値のある人物 ・原始的でシンプルな動機があり、その動機に納得がいく人物

 

ログラインからズレていないか確認する→よりよい表現をみつけたらログラインを書き直しても良い

 

主人公は共感されやすい立場か?→同じ状況やストーリーであっても、母親・娘、父親・息子、兄弟・姉妹、夫・妻のように誰にとっても身近な存在は、全く他人よりもずっと効果的な主人公になる

 

さあ、分解だ!

ハリウッド映画の脚本構成の黄金比をつくるブレイク・スナイダービートシート(1ページ1分で進行)

 

オープニング・イメージ(1P)

映画全体のスタイル、雰囲気を設定し、主人公を紹介して、最初の主人公の姿を見せる

→観客を映画館の客席に押さえつけて「この映画は面白いんだ!」と主張する

 

テーマの提示(5P)

脚本家の論点や主張《テーマ》が提示される

 

セットアップ(1〜10P)

主人公、ストーリーのテーマや目的がいきいきと設定されている

メインストーリーに出てくる登場人物の紹介が行われている

主人公に足りない部分を必ず見せる→繰り返しのモチーフや伏線として使われることもある

(三幕構成の一幕目、テーゼ(古い世界)の提示)

 

きっかけ(12P)

人生を変えるような瞬間、危機一髪な状況が起きる

 

悩みのとき(12〜15P)

自分の目標は実現不可能なんじゃないかと疑問に感じ、いろいろ悩む

 

第一ターニング・ポイント(25P)

何かが起きる

テーゼ(古い世界)を出てアンチテーゼ(正反対の世界)に進む瞬間

主人公ははっきりと明確な意思を持って次の段階へと進む

 

サブプロット(Bストーリー)(30P)

ラブストーリーであることが多い

・更にストーリーを進めるためのブースター ・ちょっとした場面転換、観客にとってのちょっとした息抜き

・新たな視点から捉えたメインプロット

 

単なるラブストーリーだけでなく、作品のテーマを提示し、メインプロットから抜けて一息入れる場でもある

 

お楽しみ(30〜55P)

観客が一番観たかった部分

作品の核心部

 

ミッド・ポイント(55P)

主人公が《絶好調》になる(実は見せかけだけの絶好調)

もしくはこれ以上悪くなりようのない《絶不調》(実は見せかけの絶不調)

いきなり危険度がアップする

迫り来る悪い奴ら(55〜75P)

悪い奴らが大勢を立て直し、総攻撃を仕掛けようと決意する

 

すべてを失って(75P)

ミッド・ポイントの《絶好調》から《絶不調》になる(絶不調だったら絶好調になる)

死の気配がある(人や動物が死ぬ、植物が枯れる、自殺を考える等)

古い世界や古い価値観が死んでいく→ジンテーゼ(新しい世界)への準備

 

心の暗闇(75〜85P)

《すべてを失って》を経験した主人公はどう感じているのか?

主人公は最善策を思いつくことがでず絶望している

 

第二ターニング・ポイント(85P)

解決策が見つかる

メインプロットとサブプロットが出会う地点で主人公は解決策を見出す

(古典的なパターンで主人公が好きな女の子から解決のためのヒントをもらう)

→主人公は悪い奴を倒す問題と、好きな子に振り向いてもらう問題を2つとも解決する方法を思いつく

 

フィナーレ(85〜110P)

すべてのまとめ

教訓を学び、主人公の直すべき点が直り、メインプロットとサブプロットも主人公が勝利して終わる

古い世界は新しい世界へと変わり、新たな秩序が生まれる

悪い奴らが一掃される(その順序は子分から親分)

問題の元凶である悪い奴・ものは新しい秩序を生むために確実に一掃される

 

主人公が変わるだけではなく、世界も変わる

 

ファイナル・イメージ(110P)

《オープニング・イメージ》との対比を見せる

本物の変化が起きたことを見せる場