【要約】観察力を磨く 名画読解
観察
観察=意識的に注意深く、思慮深く見ること
網膜はカメラのフィルムではなく脳の一部、人は目で見るのではなく脳で見る
→脳は訓練で鍛えられる→その訓練方法として最適なのが「アート」
理由:古いアートには描かれている人、もの、状況など、答え合わせができる
非注意性盲目→注意の向いていないものは見落としやすい
例)犯人を追いかけている横目で発生した別の事件に気づかない
アテンション(注意):脳が情報を選択的に処理すること
観察力を鍛えるにはまず注意力と記憶力を鍛える
注意力と記憶力を鍛える方法
- 絵や普段使う構造が適度に複雑なものを選んで一分間集中して観察する
- 観察が終わったらそれを見ずに特徴を全部書き出す、できるだけ詳しく書き出す
- 全部書き出し終わったら、もう一度三分間観察して最初にきづけなかったことを書き出す
知覚フィルター:目の前にあるものを全員が同じように観るわけではない、個人の経験によって見方は変わる
(無意識のうちの知覚フィルターに気づき、それを無意識から意識する状態にすることで影響を弱められる)
何に影響されてフィルターに介しているのか
・自分や周りの人の経験 ・価値観、道徳観、文化、信仰 ・生まれ育、教育
・仕事上の目標、野心、挫折 ・個人的な目標、野心、挫折 ・生理的な好み、嫌悪
・経済的状況または見通し ・政治的な信条 ・身体の状態(病気、身長や体重など)
・今の心境 ・自分が所属している組織など ・情報源にしているメディア
・友人や同僚からもらう情報または印象
意見・解釈と事実を混ぜず、客観的に分析する
確証バイアス:無意識のうちに期待に添うデータばかりを求め、それ以外を排除するバイアス
確証バイアスを取り払う2つの質問
「自分の予想と一致する情報ばかり集めてないか」
「この情報によって、自分は個人的に(または職務上)得をするのではないか」
→期待を意識することで情報収集の過程を見直すことができる
人は知らず知らずのうちに見ろと言われた部分に目が行く
→アートのタイトルや説明は思考を型にはめ偏らせる→まずは作品をじっくり見る
誰かの決めた基準に頼っていたら正確な分析はできない
まず自分の目で見る→既存の情報や意見を参考にする→もう一度自分の目で見る
(できるだけ多くの情報を集め、できるだけ多くの視点で見ることが大事)
変化盲:人間は変化に気づきづらい
→あらゆるものは常に変化し続けているという認識を持つ
→決めつけをしない(あらゆる人とあらゆる状況は唯一無二)
バイアスを意識することで、バイアスは取り除ける
見たものを正確に理解するためには、事実と憶測を区別し、優先順位をつけ、適切に伝えることが重要
主観的な判断で思い込まず、誰が関わっているのか、何が起きたのか、いつ起きたのか、どこで起きたか
→事実だけをあげてく(事実=実際の経験または観察に基づいて確かめた事柄)
客観的になるには→対象物を数え、測定し、それができない場合は大きさを推測する
→憶測で判断せず、事実を基に判断する
細部に注目すれば他の細部も見れるようになる
細部を見るための戦略COBRA
Camouflaged(紛れているもの)
一度全体を見渡してから二度目で細部を観察する
One(ひとつ)
紛れている細部を見つけるには、神経を研ぎ澄まし、余計なことを考えずに、観察だけに専念する
→ケータイをしまい、パソコンを閉じる、対象物をじっくり観察する
Break(休憩)
煮詰まってきたらすぐ休む
作業とは全く関係ないことをする
Realign(期待を見直す)
こうあるべきという期待や先入観を捨て、ただ見る
Ask(意見を聞く)
第三者に同じものを違う目線で見てもらう
見過ごしているものが無いように全体を見渡し、大枠を掴んでから細部を細かく観察する
分析
全体像を把握するためにはなるべく多くの視点が必要
物理的視点:反対側、下側、対角線上、外側、遠くから、しゃがむ、周りを歩く、あらゆる物理的方向から見る
現場の視点:机上の空論ではなくまずは現場に足を運ぶ
五感を使う視点:視覚情報だけでなく意識的に五感全てを研ぎ澄まして情報を集める
他者の視点:他人の視点でものを見る・考える
→他者の視点に立つと、見えにくかったその人の“なぜ”がみえてくる
他人に情報を正確に伝えるために
・省いた情報は無いだろうか? ・私にとって当たり前のことはなんだろう?
・ちがう世界から来た人が、私の世界について知らないことはなんだろう?
《何を知っているか》
対象をすみずみまで観察→誰が、なにを、いつ、どこで、を探る(知覚フィルターを意識し客観的な部分に着目)→物理的に視点を変え、細部と全体を新たな角度から眺める
→情報に優先順位をつける(その情報はなんのために必要か?なにに使うのか?)
どう説明していいかわからないものでも分かる範囲で情報をしっかり抑える
《私は何を知らないか》→自分が知らない情報も省かない→知らないことを知る、知らないと伝える
普通はあるはずなのに無いものは何か
《何を知らなければならないか》→もしも目の前に情報が追加されるとしたら、何を知るべきか
情報に優先順位をつける際、緊急度と重要度に気をつける
緊急度が高い→一時的 重要度が高い→長期的
必ずしも緊急度順で対処する必要はない
伝達
・コミュニケーションにおいて主観的表現を避け、TPOにあった表現をする
・客観的表現を使う:具体的で事実に裏打ちされた表現
→明らかに、間違いなく、決して、必ず、現実には、言うまでもなく…を使わない
・誰に対しての発言なのか明確にし、一番伝わりやすい表現を使う
・見た絵を他人に正確に描写し、伝わる表現を使う練習をする
・言語以外のコミュニケーションは重要だが身振り手振りを言葉の代わりにしてはいけない
→あくまでも言葉を使って正確に伝える
3つのR:メッセージを確実に届けるための工夫
リピート→自分の発言が相手に伝わっているか繰り返してもらう
リネーム→相手がメッセージを受け入れない時は名前や言い方を変える
リフレイム→聞き手が情報に期待したほどの反応示をさない時は伝え方を変える
情報を漏れなく伝えるためには、どんな状況でも正確に事実を描写する能力が必要
→不都合な現実を無視して、観察も分析もせず誰かに伝えなかったら事態はさらに悪化する
例)太った人を「肥満」と正確に表現する
不快なものも事実を客観的に観察し分析する
意図的盲目:人間は酷すぎたり、信じられない事実の情報は遮断する
→見たものを視覚データとして扱い、説明することができるようにする
→危機にも、不快な会話にも、淡々と対処できるようにする
事実と感情を整理して現状を分析する
応用
無意識バイアス:親しんできた文化や個人的な経験によって、目の前の状況に対する理解は変わる
→だからこそ、事実を見極めることが大事、事実のみを抜き出す
経験バイアス:経験を過信して事実をねじ曲げてしまう
→経験の根拠に頼らない
バイアスを上手に利用する3つのルール
- バイアスを自覚し、悪いバイアスは排除する
自分の中のバイアスに気づいたら、そののせいで、人の話を聞いたり、伝えたりするのが難しくなっていないか
バイアスが自分の成長や成功に役立っているかどうかを自問する
- バイアスと事実を混同しない。バイアスは、事実を見つける道具と心得る
バイアスは事実の裏付けではなく、視野を広げるための基準点
バイアスによって生じる考えを疑問にすると、新たな事実を発見しやすくなる
- 結論を第三者に聞いてもらう
自分のバイアスは身近すぎるうえに、無意識の領域にあって捉えにくい
自分が導いた結論のどこが正しく、どこが間違っているかを第三者に確認してもらう
グレーエリア:身に降りかかってくる災難
・グレーエリアでは特に分かった事実に集中することが大事
・優先順位をつけるとき“なぜ”は一番下に置く
→手に入らない答えを探す前に、今ある情報(誰、何、どこ、いつ)に集中する
主観的な問題にも客観的に対処していく